ルート十二面体

同人サークル「ルート十二面体」活動概要

[info]サークル参加予定イベント(2017.09.25更新)

(2017.10.01) 関西コミティア51 【Q-13/Q-14】
(2017.11.11) ふたけっと13.5 【申込予定】
(2017.11.23) コミティア122 【スペース未定】
(2018.01.21) こみっく★トレジャー31 【検討中】

【ネタバレ注意】劇場版けいおん!感想【八稿目】

八回目です。
書きたいことは山ほどあるのですが、
前フリのネタは回を重ねるごとになくなっていきます。
というわけで、さっそく本題へ。

【以下ネタバレ】



【ここからネタバレ】

前回ちらっと取り上げた「子ども」と「鳥」の話です。
初見ではまず気づかないでしょうが、ロンドン観光中のシーンを注意深く見ていると、
「子ども」と「鳥」という二つのモチーフが頻繁に現れることに思い当たります。
場面の転換時などにさりげなく挿入される場合がほとんどなので、例示するのが難しいのですが、
「子ども」についていえば、「Unmei♪wa♪Endless!」をバックに五人がロンドン市内を縦横無尽に
駆けまわる一連の描写の中に、母親に手を引かれて歩く幼児に唯が反応するシーンがありますし、
「鳥」でいえば、野外ライブ会場の観覧車を鳥がくぐり抜ける、という印象的なシーンがあります。

さて、「子ども」と「鳥」という二つのモチーフから連想されるものといえば、何でしょうか。
鳥といえば翼です。では、「翼の生えた子ども」というイメージで表現されるものといえば。
そう、天使です。そして、既に何度となく映画を見てきた私たちは、物語の終盤において、
「天使」が重要なキーワードとなることを知っています。もうおわかりでしょう。
つまり「子ども」と「鳥」は、「天使」を暗示する伏線だったというわけです。

ついつい勿体ぶった調子になってしまいました。しかし子どもと鳥が天使を暗示するというのは、
察しのいい人にとっては自明の話ですし、今さらドヤ顔で指摘するような論点ではありません。
ですからここでは、別の角度から「子ども」と「鳥」の問題を取り上げてみたいと思います。

***************************************************************************

劇中登場する子どものうち、物語に直接絡んでくるのが、野外ライブで唯が見とれていた赤ちゃんです。
帰りの飛行機の時間が刻一刻と迫る中で、赤ちゃんに格好いいところを見せようと発奮した唯が、
演奏を勝手に延ばしたために、ダッシュで空港に向かう羽目になる、というエピソードがありました。
かわいいものには目がないという唯の性格が如実に現れた微笑ましいエピソードなのですが、
もう一歩踏み込んで考えると、ここにも重要な伏線が隠されていることに気づきます。

着目すべきは、「唯が赤ちゃんに格好いいところを見せようと発奮する」という構図。
どこかに見覚えはないでしょうか。実はこの構図、「卒業を目前に控えた唯が、せめて最後ぐらいは、
梓に先輩らしい格好いいところを見せようと一念発起する」という、映画全体の主軸となる構図に、
そっくりそのまま重なるのです。つまりこのエピソードでは、唯の赤ちゃんに対するアプローチに仮託して、
劇中における唯の梓に対するアプローチが象徴的に再現されている、ということになります。
(奇しくも二泊目のホテルでは、唯が子守唄を歌って梓を赤ん坊のようにあやすシーンがありました。)

梓への曲は先輩らしくスケールの大きいワールドワイドな曲でなければ、と思い込んでいた唯は、
赤ちゃんに対しても、なれない英語を振り回してワールドワイドな感じを出そうと躍起になります。
ですが、このときの唯は、いい格好をしようとするあまり、ある大事なことを忘れていました。

赤ちゃんは、唯が日本語で歌った「ごはんはおかず」、つまり「いつもの」唯たちの曲を聴いて、
喜んでくれていたのだということ。特別な演奏だからといって、変に気負ったりする必要はないのです。
空港へ向かうタクシーの中で、唯はようやく、この当たり前の事実に気がつきます。梓もきっと、
あの赤ちゃんと同じように、いつもの自分たちの曲がいちばん大好きだ、ということに。迷走していた唯に、
正しい道を照らし出してくれた赤ちゃんは、いわば唯にとって、もう一人の天使だったわけです。

***************************************************************************

ところで、赤ちゃんを梓に見立てて考えるとなると、途端に意味を持ち始めるシーンがあります。
演奏中、赤ちゃんが近くにいた鳥に手を伸ばそうとすると、鳥たちが飛んでいってしまうというシーン。
赤ちゃんが梓なら、赤ちゃんのもとを離れて羽ばたいていく鳥たちは、何を指しているのでしょうか。
梓にとって、手を伸ばしても届かない遠い所へ飛び去っていく存在。明らかに、卒業する唯たちのことです。
つまり「子ども」と「鳥」は、「天使」の暗示であるとともに、梓と唯たち、それぞれの象徴でもあるのです。

 ※ちなみに次のシーンでは、飛び去る鳥たちから時計へと、カメラの焦点が素早く移動しますが、
 少しずつ、しかし確実に進む時計の針は、飛行機の離陸時刻へのカウントダウンであると同時に、
 唯たちの卒業へのカウントダウンでもある、ということになります。精緻を極めた巧みな演出です。

あまり目新しい議論はできませんでしたが、今回はここまでということで。

(※他の感想記事はこちらから→劇場版けいおん!感想まとめ)

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テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2011/12/16(金) 15:38:53|
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